ADHD_LABO

ADHDをよりよく生きる実験の日々

弟の嫁がでていった! 〜母ナツコの近況 後編〜

前回からの

adhd-labo.hatenablog.com

 続きです。

 

ナツコは、事のいきさつを

頭に浮かんだことから

矢継ぎ早に話す。

 

時系列は全く無視し、

フリースタイルを貫く。

 

 話の概要がまったく掴めない。

だがなんとなくまとめると、

 

今年の4月末

弟の嫁ゆうちゃんが

自分の荷物を全てまとめ

実家に帰ってしまい

帰ってくる気配が全くない。

 

いきさつは

昨年の秋頃、ゆうちゃんが転職し

保険の外交員をはじめた。

 

しかし、その仕事は

想像以上に厳しいもので

体調をくずし自立神経失調症に。

 

その状態の中、

3月に弟の犬、

レオが病気で急死。

弟がペットロスに陥り、

余裕のない状態。

 

そんな二人が共に生活をしていたら、

傷を負ったもの同士

共に支え合うか、

ギスギスと苦しいものになるか

どちらかであろう。

 

弟夫婦は後者の状態になった。

 

毎晩の激しい口ケンカの末、

とうとう弟は、物に手をだした。

壁に穴を開けてしまったらしい。

思春期か。

37歳にもなって

盗んだバイクで走り出す

15の夜(尾崎 豊)ではないか。

つっこみどころ満載のハンコ一家。

 

次は、私が同じ目になるのではないかと、

ユウちゃんはハンコの実家にかけこんだ。

 

「助けてください」と。

 

ナツコは弟に激昂し

 ナツコはゆうちゃんに自分の元に

避難してくるよう促したが、

それはそれでゆうちゃんの気も休まらないだろう。

 

ナツコのアドバイスはいつもどこか的を得ない。

 

そしてそれを断り、ユウちゃんは

実家に帰る事を決め現在に至る。

 

しかし、一つだけ希望がある。

 

ナツコは10月のゆうちゃんの帰りに

「全て」をかけている。

 

今月のはじめ、ナツコとゆうちゃんが

電話で話す機会があったようだ。

 

10月にゆうちゃんの地元で

友達の結婚式があり

それまでは実家でゆっくりと過ごし

心と身体を休めます。

結婚式が終わったら

帰りますと。

 

 そんなわけで、ナツコは

10月に希望を託し

毎日、毎晩、

「ゆうちゃん帰ってきて。帰ってきて」

と泣きながら祈っているそうだ。

 

ゆうちゃんを想わない日は1日だってない。

私はもう泣きつかれた。

こんなに泣いても涙がとめどなく流れると。

 

3月にレオが死に、

今回はゆうちゃんが出ていってしまい、

なぜ故に私はこんなに不幸なのかと。

 

弟自身も迎えに行こうと

試みたらしいのだが、

コロナの件もあり

感染予防の為にも

今はまだ来ないで欲しいと

ゆうちゃんの母親に説得されたそうなのだ。

 

昭和の演歌のように

ナツコの心情を語りだした。

 

その時のハンコは

出来損ないのペッパーくんと化す。

 

「ソウナンデスネ」

「ソレハ オツライデスネ」

「オカーサンノ、イノリツウジルトイイデスネ」

 

この3フレーズを使い分けるのだ。

 

言葉の強弱、間合い、絶妙に使い分けやりすごす。

話は全くきかない。

ハンコの心はIPPONグランプリに集中していた。

 

これくらいがいいのだ。

心を無機質にし

防波堤を作らないと、

ナツコのお悩み案件は

またたく間に

ハンコの心を浸食する。

 

しかし

Siriや、本家のペッパーくんが

よっぽど気の効いた相槌をうち、

ナツコを喜ばし満足させるであろう。

 

20分ほどこの3フレーズで

のらりくらりと

やりすごしていたときだろうか、

 

ナツコが急に声をあらげた。

「なんだ!?あんだとはなすしでっと

まるでロボットと話しているようだ。

本当にきいでんのか!?」と。

 

 ヤバい。ヤバい。見抜かれてしまった。

私のペッパーくんスキルもまだまだだ。

 

しかし私は

すべてがなんだか

おかしくなってしまって

笑ってしまった。

 

それにつられて、

ナツコも笑いはじめた。

 

小さな「奇跡」が起きた。

 

私たちはそこで電話をきった。

 

ナツコの祈りは通じ、ゆうちゃんは

ハンコ一家のところに戻ってくるのか。

 

そっとここで

ゆうちゃんへの想いを

伝えたいと思う。

 

ゆうちゃん、

今は、ゆっくりゆっくり、

心と身体を休ませてね。

 

みんな、

明るく優しいゆうちゃんに

甘えていました。

 

私たちは今それに

向き合うことがとても必要です。

 

 

もし、また会う事ができたら、

ゆうちゃんの大好きな焼き肉、

たべに行こうね。

 

帰ってきても、そうでなくても

私はゆうちゃんが大好きです。

 

 

 また進展があったらここにご報告する。

 

 次回は

コンサータ辞めてサプリ飲んでます」

シリーズ、~鉄編~をお届けします。

 

ハンコはあなた。

あなたはハンコ。

 

そんじゃまた!

 

弟の嫁がでていった! 〜母ナツコの近況 前編〜

先週の土曜、

ハンコがテレビ鑑賞をしていた。

大好きな「 IPPONグランプリ 」だ。

 

その傍らの右手に

猫のベルベットの様な滑らかな手触り

左手には

犬の絹糸の様な手触りと

両手に柔らかなぬくもりを感じながら

甘美な時間に酔いしれていた。

 

しかし、そのひと時も

一本の電話で終わりをつげる。

 

IPPONグランプリと一本の電話

なんとも絶妙なタイミング。

 

夫、観音氏のスマホの着信音が鳴り響いた。

スマホに出た観音氏の口調で

身内からであることを察した。

 

犬の話題を話していたことから、

ほぼ、母ナツコからに間違いない。

そう判断した。

 

予測どおり

ナツコからの電話だ。

 

ちなみにハンコのスマホには、

実家の電話、ナツコのスマホ番号も

登録されていない。

 

ハンコから実家やナツコに

電話することはまずない。

 

実家の家族と話す回数も

年に1回か2回だろうか。

これがハンコの精神衛生を保つ上では

とてもベストなのだ。

 

なので実家で何かあると、

観音氏のスマホに電話があり

その後ハンコに引き継がれる

という流れになっている。

 

ナツコからの電話は

まぁ、まずハッピーな内容ではない。

 

みのもんたよろしく

ナツコお嬢さんからの

「 ちょっと聞いてョ!おもいっきり生電話 」

今回のお悩み相談はなんであろうか?

 

 

一昨年、

大病を患った父ハルオのことか、

親戚の不幸か、

様々な思いを巡らせ、身構える。

 

 

ちなみに 前回の電話は今年3月。

実家で暮らしていた

ポメラニアンのレオが

10歳で腎臓病を患い死んでしまったと

泣きながらの電話だった。

 

頻度が短くなってある。

この傾向は非常によくない。

 

今回のナツコからの電話は

ハンコ予想の斜め上を行っていた。

 

 

 弟の嫁、ユウちゃんが

「荷物をまとめて実家に出ていった」

そんな話だった。

 

弟は12歳年下のユウちゃんと

職場で出会い、5年前入籍した。

ナツコとハルオは

ユウちゃんをそれはそれは

可愛がり、大事にしていた。

 

しかし 、次から次へと、

何かしら巻き起こり
一体何なんだろうか。
ハンコ一家は。

 

そして

ハンコ実家の台風の目

ナツコの

「 念の強さ 」

「 引き寄せ力 」

には目を見張るものがる。


「 ザ・シークレット 」

おなじみの
ロンダ・バーン女史もビックリの

引き寄せ力。

 

この能力を用いて、

引寄せセミナーでも開催したら

かなりの人気を得るのではないだろうか。
 
しかし非常に残念なお知らせだ。

 

ナツコの

「こうなりませんように!!」と

拒絶する心配事の思考を

現実化してしまうことに

特化していることだ。
 
この能力を「幸せや希望」に

もっていったら
また違うものになっていたと思うが、
それはナツコが選択することだ。
ハンコはただ静かに距離を置いて

見守るしかない。

 

さて次回は、

ユウちゃんが実家に帰ってしまった

事の顛末をお伝えしたいと思う。

 

見てください!聞いてください!
楽しんで下さい!

押無 判子(オセナイ ハンコ)でございます!

 

そんじゃまた!

ネガティブモンスター、ハンコが生まれた背景~社会人編②最終回~

 前回

adhd-labo.hatenablog.com

の続きです。

 

この回のテーマソングは

藤圭子宇多田ヒカルの母)の

「聞いてください私の人生」

がぴったりではないだろうか。

 

叶うことなら、読者の方が

このブログを読んでいる間

ハンコが横でこの歌を歌いあげ

臨場感を増したいところだが

なかなか難しく残念だ。

 

もしくは

歌詞を載せたいところだが、

著作権にひっかかりそうなので

お暇な時にでも一読していただければと思う。

 

 一度目の入院は、20代後半。

ここで救ってくれたのは

またしても「 観音氏 」だ。

 

なんだろうか、観音氏は前世で

強いカルマでもあるのだろうか。

気の毒でならない。

 

当時、もうすでに別れていて

県も別々のところに住んでいた。

しかし、私の異常さに気づき、

病院を探し見つけ、全てを手配した。

 

いつもどんな時でも、ハンコを仄暗い世界から

明るいほうへ導いてくれるのは観音氏なのだ。

観音氏には足を向けて寝られない。

 

しかし現在ハンコは「痔」になり、

患部の通気性を絶対確保するために

尻をほうりだし、

「痔」を抱える尻を向け寝る姿を

観音氏は煙たがっているのだが

それはまた別のときにでも。

 

20代後半、ハンコは

昼は美容部員、夜はバイトでスナックで働いてた。

 

浅はかな思考の元に生きていたハンコは

当時、とにかく結婚したくて、したくて

結婚に「全て」をかけていた。

 

このぱっとしない人生も

結婚すれば何かがかわるのではないかと。

全く安易な考えだ。

 

当時ハンコは

大学から付き合っていた観音氏と別れ、

7歳離れた外資系自動車メーカーに務める

A氏と交際していた。

 

 A氏は、留学生活と外資企業で培われたジェントルマン気質。

外車を颯爽とのりこなし、週末はサーフィンにあけくれ

リア充街道をひた走り、とにかく輝きまくっていた。

 

もともと陰キャ気質の恋愛偏差値30も満たない

ハンコが挑んだ、難関大学A氏。

 

結果は読者の方の想像通りだ。

しかしそのときはもう

回りは全く見えなくなっていた。

 

こともあろうか

その難関大学A氏に結婚を挑んだ。

 

それを遂行するため

安易なアイデアが浮かんでいた。

A氏の「嫉妬」と「焦り」を買う作戦だ。

 

美容部員で働いてたその流れで

メイクを学びにロンドン留学したいと。

1ミリも、1ミクロンも思ってもいない

夢をA氏に語りだした。

 

だから、夜のバイトで留学資金をためている。

「止めないと私はロンドンに行ってしまいますよ。」

「本当にいいのですか」と。

 

しかし、ひきとめるどころか

A氏は留学をめちゃくちゃ応援した。

 

あとに引けなくなったハンコはバイトを続け

むなしく貯金を増やしていった。

 

そんな女がA氏の心を繋ぎ止めれるわけがない。

やがてあることがきっかけに恋は終わった。

 

そして 、そこはかとない目的のあぶく銭は、

瞬く夜の夢、夜露のように消える。

まるで意思をもっているかのように。

 

バイト先で出会ったS氏に

嘘からはじまった留学資金を

だまし取られることとなる。

 

ざっとウン百万。

 

S氏はバイト先で会社の社長と噂され、

「太客」として大変人気があった人物だった。

 

しかし、偽名を複数もち使いわけ

詐欺をはたらいていた人物なのだ。

被害者が一人、二人でないことを知るのは

数年先のこと。

 

ハンコはオレオレ詐欺など

詐欺に騙される人を

馬鹿には決してできないのだ。

 

詐欺師は本能的というよりも、

ミトコンドリアレベルで

ターゲットを見抜き近づく。

 

もともと自己肯定感の低いハンコを

その気にさせるのは容易いことであったろう。

 

スッカラカン、信用、健康、全てを失ったハンコは

常軌を逸し、入院することとなる。

これが一回目の入院だった。

 

その後S氏は多額の金を溶かし、

消息不明となった。

 

今も生きているのか

マグロ船で使われる餌となっているのか

はたまた東京湾の海底にいるか

答えは風の中だ。

 

その入院生活でハンコは再生し、

次は再生しすぎたのか

スピリチュアル、自己啓発に傾倒し、

セッション、セミナー三昧をあけくれたのが

38歳位までだったろうか。

もうどうしようもない女だ。

 

これまでの災いは

過去生の強いカルマであるとか、

カルマを落すワーク、

愛のバイブレーションを作るだの

感謝のワーク等々にいそしんだ。 

 

 

やがてそれも終わり、現在に至る。

全ての事柄がハンコに必要だった。

そう思っている。

 

ふと、やけに思い出すセリフがある

二十歳の時にみた映画

トレインスポッティング」 

主人公レントンが語るラストシーンだ。

 

「これで終わりにして、まともになり、人生を探そう。

 ずっと探し求めていた、あんたと同じような人生を。

 仕事、家族、大きなテレビ、車、CD

~中略~

9時から5時、家庭的なクリスマス、年金、税控除、

生きていくのさ、未来をみすえて、死ぬその日まで」

 

二十歳のころ、毛嫌いしていた

「普通の人生」が

現在のハンコの心には

まばゆい輝きを放ち眩しく見える。

 

そんなこんなで20年を過ごし

今日も何食わぬ顔で図書館で働く。

 

昼休みには、先輩や同僚たちと、

オホホ、アハハと

何事もなかったかのように。

 

そう、

あなたの職場の机の横に座っているのは

「冷静と狂気の間」に

生きるハンコ本人かも知れない。

 

ハンコはあなた。

あなたはハンコ。

 

次回、

ネガティブ・メガ・モンスター、

母ナツコの近況をお伝えします!

 

そんじゃまた!

 

 

 

 

 

ネガティブモンスター、ハンコが生まれた背景~社会人編①~

〜怒涛の社会人編〜だが、

あまりにもいろんなことがありすぎた。

 

終わるまで一つ一つ掘り下げていくと、

10年位かかりそうなので、

心に残っている思い出を

抽出してサクサクっといく。

 

また回を追って、一個一個、

深堀していける機会を設けたい。

 

さて、ハンコは今年43歳になる。

 

社会人になってからの

20,30代を総括すると

「No pain No gain」

( 痛みなくして得るものなし )

これにつきる。

 

なんだか英語にするとかっこいいが、

単にハンコは愚かな女なのだ。

 

相当な痛みを伴わないと、

何かを得る事が出来ない。

 

大抵の人なら、

物事に対し、予想や予測をつけて、

これは大変なことになりそうだな。

ヤバそうだなと察知し、

リスクをきちんと回避する。

 

ところがどうだ、

ハンコはそのリスクを

刺激や面白さとして捉え、

自ら炎の中に身を投じ、

火だるまになる。

 

その痛みを一度で

フィードバックすればいいものを

それを何度か繰り返して

やっと学ぶのだ。

 

そしてハンコは

0か100かの女だ。

 

真ん中の50あたりを歩きたいのに

真ん中の概念、歩き方、

それすらわかっていない。

 

話題はかわるが、

このブログの読者の方は

大人になってから

オムツをあてがったことがあるだろうか?

 

ハンコは、30代半ば、

尿漏れシートを飛び越えて、

オムツデビューを果たした。

 

それはOD(薬の適量を越えた過剰摂取のこと)を決行した

翌朝のことだった。

 

 

仕事にのめり込み過ぎて、

やがてそれは心身に異常をきたし

鬱病になった矢先のこと。

 

一度別れたが、復縁後同棲していた観音氏が

夜勤明けの朝、意識のないハンコを発見。

救急車を呼んだという顛末だった。

 

 決してないとは思うが

ODを誘発するといけないので、

何の薬を何錠、服用したかの

名言は控えさせて頂く。

 

何の影響力もないブログだが、

何がトリガーになるかわからない。

私はそれを知っている。

 

とりあえず、医師の処方薬を相当のんでも

イワオのいる黄泉の国にいけるどころか、

三途の川さえ渡れない。

川の前の、砂利っぱらで突き返されるだけだ。

 

ODの行きつくところは、

「死ねるどころかオムツプレイ。」

体内の薬効成分を排出するため、

大量の点滴を施される「水攻め」や

「胃洗浄」もまっている。 

 

救急搬送先で上記の処置が行われた。

 

いつ履かされたのかわからないが

オムツをあてがわれ、

知らぬ間に方尿していたのだろう。

 

いつでもサラッと快適にしてくれる

安定の高分子ポリマーでさえも役に立たない量で

ぬれて重たくなったそれ。

 

赤子の泣いて知らせる気持ちをこんな場面でわかろうとは。

 

そして、ハンコは意識がないときに

オムツを無理やり脱ごうとしたのだろう。

 

意識が少しずつ戻り、朦朧としていたその時、

堪忍袋の緒が切れた看護師に

めっちゃ怒られた。

 

「オムツ脱ぐようなら、尿道カテーテルいれますよ!!」と。

 

看護師という名の女王様よろしく

言葉攻めから尿道プレイのオプションがついてくるとは。

 

ODの末路は地獄の苦しみとSMプレイの

フルコースが待っている。

 

 その後ハンコは、

薬に対し強度の依存をもっていた依存症の治療、

心と身体を休める為に、

精神病棟に約一ヶ月半程入院した。

 

精神病棟といえば、

「鉄格子の独房に閉じ込められる」
「手足を縛りつけられる」

など暗く陰惨なイメージがあると思うが

入院した先は、多少の窮屈さはあるが、

ルールと秩序さえ守れば、

看護師たちが常に患者を気にかけケアし、

申告用紙に記入すれば外出もできる。

しかも同じように傷つき、疲れ果てた心優しき同士達がいた。

それはまるで母親の子宮の中にいるような居心地だった。

 

ハンコにとってのまさに「再生工場」。

看護師全員キャラはそれぞれ違うが、

野村監督のような存在だ。

 

その居心地の良さに何度か入退院を繰り返す

リピーターがいるほどに。

 

何を隠そう、私もその1人だった。

そう、その病院に入院するのは2回目。

まさかの里帰り。勝手知ったるお里だ。

 

しかーし!

「おぉっとなんとここでお時間いっぱい、いっぱい!」

( ↑ 知ってる人は知ってるかの講談師の名台詞 ↑ )

 

次回は、

一度目の入院のきっかけとなる出来事をお伝えしていきます。

って二回も入院してたんかーい!!

 

 見てください!聞いてください!
楽しんで下さい!押無 判子(オセナイ ハンコ)でございます!

そんじゃまた!

ちびっこハンコ、カリスマのんのんさん(祈祷師)のところにいく③最終回

前回の続きです。

 

がくりと頭(こうべ)をたれたまま

のんのんさんは、体勢を変えず、
「ヨウゴ〜、ナヅゴ〜がぁ?」

と低い声で静かにつぶやいた。

 

すかさず、母ナツコが

「とうちゃん!?とうちゃんなの!?」と叫ぶ。


そう、のんのんさんが呼びよせたのは

黄泉の国から訪れた、私にとっての祖父、

イワオだった。


しかし、ハンコってば肝心のこれからの場面を

あまり覚えていないのだ。

さすがハンコ。

 

ある思考に囚われてしまった為に。

 

断片的に覚えていることを書いて行こうと思う。

 

ヨウコおばちゃん、ナツコ、イワオが何か会話しているようだった。

黄泉の国、現世に住まう者たちの三者会談だ。

 

ナツコがイワオに向かって、
かあちゃんが、かおちゃんが」
泣き叫んでいた場面もあり、、

母親への思いをぶつける場面もあった。

ナツコもまた、母親に何か抱えていたのであろう。

 

ほどなくして、イワオの矛先が

とうとうハンコに向かった。


いよいよだ。

 

しかし、イワオがハンコに向けた言葉は

なんとも抽象的なものだった。
「いいがぁ、ハンゴ、こどもらすぐいぎろよ〜、

じいちゃんはちゃんとみでらっだからな。

これがらもみでるがらな

(子どもらしく、朗らかにいきるように、

じいちゃんはずっと、しっかりとみていましたよ、

これからもずっと」。

 

もっと怒られるかと思っていた。

 

いや、何かしらハンコをこれまでの行いを改めるような

言葉はあったかもしれないが、これしか覚えていないのだ。

 

なぜならイワオの、「全部みていた」

という言葉にハンコはひどく動揺し怯えていた。

 

「全て…見ていただと!?」

 

小3のハンコは、秘め事を持っていた。

 

正月にハンコの父方の親戚の家に遊びにいった時のことだ。

中学生のいとこの兄ちゃん読んでいた、

それはヤングマガジンあたりだったろうか。

グラビアアイドルの際どい写真に
心臓をハカハカ(息切れや動悸で胸が苦しいさま。はあはあ。 )とさせ、

高揚めいた感情を抱いていたこと。

しかもそればかりではなく、

その写真をしっかと焼き付け、

夜寝る前に思い出し、悶々としていた。

 

それが性の目覚めだとも知らずに。

 

しかし、ハンコの本能的な所で

「これは公言してはいけないやつ。」

と小3ながらにも認識していたので

自分のだけの秘め事ととして、

自分の感情の奥底にしまい

静かに育ていた。


そんな事が、ナツコ達に告げられたらどんなことになろうか。

 

祈祷師に行く案件がまた増えてしまう。

しかも、その時、なんと言って相談するのだろうか。
公開処刑にも程がある。

 

ハンコは青ざめ、とにかく気が気がではなかった。  

「じいちゃん、あのことはナツコには絶対言わないで。

もう何でもします。言うことききます。

とにかく、とにかくお願いします。」

 

さっきまで他人事のように、ぼんやりと三者会談を眺めていたが、

熱心に手を合わせて目をつむり祈りを捧げはじめていた。

 

そんなハンコの姿をみて、ナツコがイワオに言った。

「あんや、父ちゃんみでげで。

ハンコ、こっだに拝んでら〜。こっだに拝んでだどごみだごねぇ。

やっぱす父ちゃんの言うごとはぎぐんだね〜

(お父さん、見て、ハンコ、こんなに拝んでる。

こんなに熱心に拝んでいる姿、見たことないわ」」と。

 

違う違う。そうじゃ、そうじゃない。(鈴木 雅之)

ハンコはただただ、告げ口されることなく

時がただ過ぎる事を祈っていただけだ。

 

しかし、何が功を奏するかわからないものだ。

 

その姿に皆が感心し、安心したのだ。

今回ばかりは違うと。

 

 ハンコがトランス状態で熱心に祈っている間

事のすべては終わっていた。

 

のんのんさんの座布団の周りには、

新たな焦げ跡、シミが増えていた。

のんのんさんがまた暴れたのだろうか。

 

イワオも黄泉の国に、とっくにかえっていた。

それぞれの思いを抱えて、霊界の旅は終わった。

 

部屋のはえらく満足気なすっきりとした表情の

ヨウコおばちゃんとナツコ。

イワオを黄泉の国に帰す際、

のんのんさんが暴れたであろう

その姿に怯える弟。

別の意味で無事に終わった事に安心するハンコ。

 

その後しばし、のんのんさんと談笑して我々は帰路についた。

 

帰りのタクシーでナツコは、はしゃいでいた。

「やっぱす、違うもんだね〜。ハンコよぐなるに違いねぇ。
しっがす、のんのんさんの金歯、立派だったねぇ。

やっぱすもうがってんだえか?(儲かっているのかな。)」
と下世話にものんのんさんの懐事情を探っていた。 


目の付け所が一緒だった。

前回述べたように、この親にしてこの子ありだ。

DNAの精度に一寸の狂いはない。

 

その後、

のんのんさんの祈りは

ハンコに効いたかどうかは言わずもがなである。

 ナツコがこれ以降、

のんのんさんの所にいくことは一切なっかた。

 

時が経ち、ハンコは成人し、

男に金を騙し取られるわ、精神病棟に入院するわ、

30万をはたいて啓発セミナーに参加するわ

なかなかの仕上がりの大人になった。

 

いや、のんのんさんはしっかりそれを見抜いていて、

これはワシの手におえんとおもったのかもしれない。

 

しかし、今、ハンコは幸せで

やっと穏やかな生活をしているから

祈祷が今効いているのかもしれない。

だいぶ時間差があったが。

 

そう思い方は自由だ。意味づけは自分次第。

 

そして、ハンコはのんのんさんの生き方を思う。

あの時代は、恋愛結婚は少なかったであろう。
親が決めてきた結婚相手と契りを交わし

子を生み、育て、田畑を耕し、
土地に住まう精霊たちと生き

 

時には祈祷師として、
他者の普遍的な悩みを聴き、
霊界を行き来し、
神や仏と交信し、
悩みを解決していくのだ。

 

そして、その土地で生を終え、
土に還っていく。


なんて美しい生き方なんだろうか。

 

ハンコが若い頃そんな生き方、

まっぴらごめんと思っていたが、

そんな生き方に想いを馳せ、

美しさを見出すことができるようになった。

歳を重ねるのも悪くない。

 

そして、今頃の時期、
吹き抜ける風になびく稲の葉と、

心象風景を重ねながら

思いを馳せる。

 

そうそれは、

東北屈指と呼ばれたのんのんさんを訪れたのは

ちょうど今時期だったから。

 

 

のんのんさん、ハンコは今幸せに暮らしていますよ。

「 ありがとがんす 」

 

 

長文、読んでくださいましてありがとうございました。

お疲れではないでしょうか。

次回までゆっくりお休みくださいませ。

 

 

次回は、~怒涛の社会人編~にもどりまーす!

見てください!聞いてください!
楽しんで下さい!押無 判子(オセナイ ハンコ)でございます!

そんじゃまた!

 

 

ちびっこハンコ、カリスマのんのんさん(祈祷師)のところにいく②

前回の続きです。

 母ナツコに突然ぶたれ、ヒック、ヒックと

悲しみにくれる弟を尻目に、われわれハンコ一家をのせた

東北新幹線やまびこ号は、瀬音ゆかしき杜の都についた。


そこには、これから合流する人物がいた。

ナツコの腹違いの姉、ヨウコおばちゃんだ。

そう今回のカリスマのんのんさんの情報源は、

ヨウコおばちゃんだったのだ。

 

ヨウコおばちゃんはナツコ以上に信心深く、

昔からのしきたりや言い伝えに

大変うるさい人だった。

ハンコ、弟には

とてもとてもやさしい人だったが。

 

ナツコの実家の一族は、キャラがとにかく濃い。

濃すぎるが故に、そえぞれの自己主張が大変激しく、

これが原因でよくもめていた。

 

冠婚葬祭のめでたい席、静かに喪に服すときでも、

TPOおかまいなしに兄弟同士のケンカをおっぱじめ

最終的にはお互いを罵りあい、大の大人が泣くという場面を

幼少の頃からしばしば見かけたほどだ。


そんな新たなメンバーを加えた一行は、

カリスマのんのんさんが待つ家にむかった。

 

程なくして、農村地帯の一角にあるのんのんさんの住む家についた。

住まいは大変大きく、歴史を感じさせるものだった。

 

「カリスマ祈祷師」といった看板はもちろんなく、

ごくごく普通の農村にある家そのものだった。

そうまるで田舎のばあちゃんちに行った感覚だ。

 

ヨウコおばちゃんが呼び鈴を鳴らし、

我々が訪れた事を告げた。

 

玄関に現れたのんのんさん、

「よ~ぐぎだね~、あがらんさい。

(よくきてくださいました。おあがりくさい)」

と飄々と話し、その笑顔にハンコの目は奪われた。

にっかりと笑うと金歯がギラリとひかるのだ。

 

前歯すべてが、金歯だった。

現代でいうところのラッパーが施す

グリルズを思い起こさせるほどの

それはそれは、みごとな金歯。

 

しかしそれ以外は農作業で日焼けした肌

深く刻まれたシワ等、

金歯以外は肩透かしを食らうほどに、

やさしくあったかい普通のばあちゃんだった。

 

のんのんさんは、祈祷が行われる部屋へ我々を招きいれた。

畳、8畳間ほどの線香の香りが立ち込める部屋。

7段飾りのひな壇のような厳かな祭壇が置かれ、

中~下段に季節の果実、自身の畑で収穫されたであろう野菜、

水、お神酒、菓子、香炉などが供えられ、

上段には、仏像および

神社で神主がファサファサする白い棒の大麻(おおぬさ)

を祭るという神仏を融合した祭壇を施し設置していた。

そう、のんのんさん韻は踏めないがヒップホッパーでもあり、

文化のミクスチャーでもあるのだ。 

 

そして、祭壇の下にはのんのんさんが座る座布団が置かれていて

座布団とその周りには、不自然な焦げ跡、

何でついたかの不明の茶色いシミがそこかしこにあり、

その上にはそれを隠そうとしているのか、

薄いカーペットが敷かれていたがそこにも

同じような焦げ跡と、シミが残っていた。

 

様々な経験を経た現在のハンコなら、

それらの焦げ跡やシミを見て

おや?のんのんさん、祈祷の他にも

別のプレイもされてらっしゃるのかな?

と思っていたかもしれないが、

幼いハンコはたただ、きたねータタミだなと

思ったくらいだった。

 

本日の相談内容等を伝えつつ

10分程軽く談笑し終えたころだったろうか。

「そろそろはじめっべがねぇ(そろそろはじめましょうかねぇ)」

と、のんのんさんは告げた。

 

さあ、いよいよ霊界の旅がはじまるのだ。

われわれは、正座を組みなおし、

これからはじまる祈祷に身をゆだねた。

 

鈴(リン)の音が清らかに静かになり響く。

 

さあ今宵、霊界の旅へといざなうナビゲーターは

東北屈指、最高峰とよばれたカリスマ祈祷師、のんのんさん。

皆様のお心の準備はいかがでしょうか?

 

鈴の音が部屋中に鳴り響いたあと、

のんのんさんは、祝詞(のりと)を唱えた。

 

おおよそ5~10分ほどたった頃だったろうか、

これまで静かだったのんのんさんが

突然、激しく独自のビートで身を揺らしはじめた。

 

祈祷中の暗黙のルール、

目を閉じ、

手を合わせていることが

ルールの一つにあったが

ADHDのハンコは、ルールを一切守るはずがない。

 

眼(まなこ)をしっかと見開き

のんのんさんの一挙手一投足を見逃さなかった

 

静かに、そして時には激しいのんのん。

それに合わせて祭壇もガタガタと揺れ、

そこかしこに線香の灰も散らばりはじめた。

 

会場の空気もあたたまり、

のんのんさん、われわれオーディエンスの

ボルテージもあがってきた頃だったろうか。

程なくして、

のんのんさんの動きがぴたりととまり、

頭(こうべ)をがくりとおとした。

 

そう、ついにのんのんさんの何かが降りてきたのだ!!!

 のんのんさんのもとに降りてきたのは、神か先祖か!?はたまた狐!?

 いよいよ次回クライマックスです。

(来週、火曜日を予定しています。)

 今日も引っ張ってごめんなさい

 

見てください!聞いてください!
楽しんで下さい!押無 判子(オセナイ ハンコ)でございます!

そんじゃまた!

 

 

ちびっこハンコ、カリスマのんのんさん(祈祷師)のところにいく①

読者の方からツイッターなどで前回の感想を何件か頂いた。

特に祈祷師のくだりが面白かったです。と。

 読んで下さって本当にありがたいです。

 

前回の続き、~怒涛の社会人編~に入ろうと思ったが

わたくしハンコも祈祷師のことを懐かしく思い出していたので

今回は祈祷師との思い出を掘り下げて研究報告レポートとする。

 

さて読者の皆さんは

女性の祈祷師というと、どんな姿を想像するだろうか?

 

白く透き通る肌に赤い唇、黒髪が艶めき神秘性を秘めたエキゾチックな

まばゆいばかりの美しい女性を思い浮かべたのではないだろうか?

 

この先を読んだ読者の皆さんは、

そのイメージがガタガタと崩れるかも知れないことを

お許し頂きたく、そして、ご了承頂願いたい。

 

ハンコが幼稚園から小学校3年になるまで

母ナツコ、ハンコ、弟と連れ添って足しげく

祈祷師のところに通う日々が続いた。

 

ナツコはADHDの特性を持つハンコを祈祷によって

治療しようとしていたのだ。

 

ナツコは祈祷師のところに行く際

「のんのんさんどごさいぐよ(のんのんさんのところにいくよ)」

と声をかけていた。

 

ちなみに私が幼い頃住んでいた地方では、

仏様を拝むことを

「のんのんして」「なむなむして」「カンカンして」と

子供たちに向けて言っていた。

以後、祈祷師はのんのんさんと呼称する。

水木しげる先生の「のんのんばあとオレ」にも記されているように、

水木しげるの出身地、鳥取県でも拝み屋をこのように呼んでいたようで

東北特有の方言と思っていた「のんのんさん」という言葉、

鳥取と東北と数百キロ離れた場所でも同じ予呼び名で愛されていた事に

なんとも感慨深いものを感じる。

 

話を戻そう。

ハンコが住んでいた、東北の田舎では

のんのんさんが地域に根付き愛され、とても近い存在で信仰の対象となっていた。

 

ナツコはその時々の悩みに応じて、のんのんさんを使いわけをしていた。

弟は喘息持ちで冬になると必ず高熱を出し、

夜になると一晩中、ゴホゴホと苦しそうに咳をし、

ひどいときには入退院を繰り返すこともあった。

こういった病気を治す&健康関連はAのんのん、

金関係はBのんのん、ハンコの奇行を治す祈祷はCのんのんと

いったように、各のんのんさんがもつ得意分野に応じて上手く(?)

使いわけをしていた。

 

こういったように、のんのんさんを活用し

私生活に落し込んでいたナツコは

ママ友からの

「あそこはなんじょだった?(あそこはどうだった?)」

という近所の問い合わせに対し

「あそごはいがった。(あそこはよかった)」

「あそごはあんましいぐねがった(あそこはあんまりよくなかった)」

と、現在でいうところのインフルエンサーばりに口コミを駆使し

狭い範囲であったがSNS顔負けの情報を拡散し存在価値を高めていた。

 

しかし、足しげく通ったのんのんさんのハンコへの祈りもむなしく

良くなるどころか、小学の学年があがるにつれひどさを増していった。

一向にあがらない学力、ナツコのいいつけは全く聞かない、

口ばかり達者になり口ごたえはする、家の中では暴れるはで

ナツコの疲労と困惑、混迷はピークに達していた。

 

それは小学3年生だったろうか。

ナツコは大きな勝負にでた。

とうとう療養クラスへの相談、当時数少なかった支援センター、

専門医等に相談することにしたのか!?

いやどれもまったく違う。

 

ナツコが最後の手段に選んだのは

東北屈指の祈祷師、

カリスマのんのんさんのところに行く事を決めたのだ!!!

そうナツコはいつだってぶれない生き方を貫いてきた女性だった。

まわりをひりひりさせるほどに。

 

その日のナツコはいつもと同じように

「のんのんさんとこさいぐよ」

とハンコと弟に声をかけたが表情はとても硬かった。

 

いつもなら、のんのんさんのところに行くのに

徒歩やバスや電車などを利用してたが今回は移動手段も違った。

 

われわれが乗ったもの、

それは当時憧れの「東北新幹線」だった。

 

まだ数回しかのったことのない新幹線に、

特に弟はこれまたはしゃぎにはしゃいだ。

 

しかし決戦の日を迎えた神妙な面持ちのナツコ、

弟のはしゃぎを断じて許さなかった。

 

外部の目もあり最初は「しずがにしなさい」と諭していたが、

あがりまくったテンションの弟にその声が届くはすがない。

 

新幹線が県境にさしかかった頃だろうか

隣でバチン!と音が鳴り響いた。

ぎりぎり保たれていた均衡が破かれた。

とうとうナツコが弟の頬をぶったのだ。

 

痛みと驚きで先ほどのはしゃぎの声よりも

大きな声で弟はわーわーと泣き叫び、

ナツコは泣いだらだめでしょ!と声を荒げて叫んだ。

 

ナツコの制裁により、さっきよりも数倍増して

やまびこ号、1号車にカオスを生んだのだった。

 

出発の出だしから波乱のハンコ一家の旅、

 次回へ続きます。(今週金曜日を予定しています。)

 

いよいよ東北屈指カリスマのんのんさんがハンコ一家の前に登場します。

 

のんのんさんの熱き祈りはハンコに届くのか!?

 引っ張ってごめんなさい。

 

見てください!聞いてください!楽しんでください!

押無 判子(オセナイ ハンコ)でございます。

 そんじゃまた!