ADHD_LABO

ADHDをよりよく生きる実験の日々

ちびっこハンコ、カリスマのんのんさん(祈祷師)のところにいく②

前回の続きです。

 母ナツコに突然ぶたれ、ヒック、ヒックと

悲しみにくれる弟を尻目に、われわれハンコ一家をのせた

東北新幹線やまびこ号は、瀬音ゆかしき杜の都についた。


そこには、これから合流する人物がいた。

ナツコの腹違いの姉、ヨウコおばちゃんだ。

そう今回のカリスマのんのんさんの情報源は、

ヨウコおばちゃんだったのだ。

 

ヨウコおばちゃんはナツコ以上に信心深く、

昔からのしきたりや言い伝えに

大変うるさい人だった。

ハンコ、弟には

とてもとてもやさしい人だったが。

 

ナツコの実家の一族は、キャラがとにかく濃い。

濃すぎるが故に、そえぞれの自己主張が大変激しく、

これが原因でよくもめていた。

 

冠婚葬祭のめでたい席、静かに喪に服すときでも、

TPOおかまいなしに兄弟同士のケンカをおっぱじめ

最終的にはお互いを罵りあい、大の大人が泣くという場面を

幼少の頃からしばしば見かけたほどだ。


そんな新たなメンバーを加えた一行は、

カリスマのんのんさんが待つ家にむかった。

 

程なくして、農村地帯の一角にあるのんのんさんの住む家についた。

住まいは大変大きく、歴史を感じさせるものだった。

 

「カリスマ祈祷師」といった看板はもちろんなく、

ごくごく普通の農村にある家そのものだった。

そうまるで田舎のばあちゃんちに行った感覚だ。

 

ヨウコおばちゃんが呼び鈴を鳴らし、

我々が訪れた事を告げた。

 

玄関に現れたのんのんさん、

「よ~ぐぎだね~、あがらんさい。

(よくきてくださいました。おあがりくさい)」

と飄々と話し、その笑顔にハンコの目は奪われた。

にっかりと笑うと金歯がギラリとひかるのだ。

 

前歯すべてが、金歯だった。

現代でいうところのラッパーが施す

グリルズを思い起こさせるほどの

それはそれは、みごとな金歯。

 

しかしそれ以外は農作業で日焼けした肌

深く刻まれたシワ等、

金歯以外は肩透かしを食らうほどに、

やさしくあったかい普通のばあちゃんだった。

 

のんのんさんは、祈祷が行われる部屋へ我々を招きいれた。

畳、8畳間ほどの線香の香りが立ち込める部屋。

7段飾りのひな壇のような厳かな祭壇が置かれ、

中~下段に季節の果実、自身の畑で収穫されたであろう野菜、

水、お神酒、菓子、香炉などが供えられ、

上段には、仏像および

神社で神主がファサファサする白い棒の大麻(おおぬさ)

を祭るという神仏を融合した祭壇を施し設置していた。

そう、のんのんさん韻は踏めないがヒップホッパーでもあり、

文化のミクスチャーでもあるのだ。 

 

そして、祭壇の下にはのんのんさんが座る座布団が置かれていて

座布団とその周りには、不自然な焦げ跡、

何でついたかの不明の茶色いシミがそこかしこにあり、

その上にはそれを隠そうとしているのか、

薄いカーペットが敷かれていたがそこにも

同じような焦げ跡と、シミが残っていた。

 

様々な経験を経た現在のハンコなら、

それらの焦げ跡やシミを見て

おや?のんのんさん、祈祷の他にも

別のプレイもされてらっしゃるのかな?

と思っていたかもしれないが、

幼いハンコはたただ、きたねータタミだなと

思ったくらいだった。

 

本日の相談内容等を伝えつつ

10分程軽く談笑し終えたころだったろうか。

「そろそろはじめっべがねぇ(そろそろはじめましょうかねぇ)」

と、のんのんさんは告げた。

 

さあ、いよいよ霊界の旅がはじまるのだ。

われわれは、正座を組みなおし、

これからはじまる祈祷に身をゆだねた。

 

鈴(リン)の音が清らかに静かになり響く。

 

さあ今宵、霊界の旅へといざなうナビゲーターは

東北屈指、最高峰とよばれたカリスマ祈祷師、のんのんさん。

皆様のお心の準備はいかがでしょうか?

 

鈴の音が部屋中に鳴り響いたあと、

のんのんさんは、祝詞(のりと)を唱えた。

 

おおよそ5~10分ほどたった頃だったろうか、

これまで静かだったのんのんさんが

突然、激しく独自のビートで身を揺らしはじめた。

 

祈祷中の暗黙のルール、

目を閉じ、

手を合わせていることが

ルールの一つにあったが

ADHDのハンコは、ルールを一切守るはずがない。

 

眼(まなこ)をしっかと見開き

のんのんさんの一挙手一投足を見逃さなかった

 

静かに、そして時には激しいのんのん。

それに合わせて祭壇もガタガタと揺れ、

そこかしこに線香の灰も散らばりはじめた。

 

会場の空気もあたたまり、

のんのんさん、われわれオーディエンスの

ボルテージもあがってきた頃だったろうか。

程なくして、

のんのんさんの動きがぴたりととまり、

頭(こうべ)をがくりとおとした。

 

そう、ついにのんのんさんの何かが降りてきたのだ!!!

 のんのんさんのもとに降りてきたのは、神か先祖か!?はたまた狐!?

 いよいよ次回クライマックスです。

(来週、火曜日を予定しています。)

 今日も引っ張ってごめんなさい

 

見てください!聞いてください!
楽しんで下さい!押無 判子(オセナイ ハンコ)でございます!

そんじゃまた!